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パンデミックの背景
2020年をベンチマーク、異常事態、あるいは変化の転機としていかに捉えるかを考える時を迎えて。
Hannah Law, Head of U.S. Thought Leadership and Communications, IQVIA
Apr 15, 2021

本Publicationsは米国本社が発表した刊行物です。本文や解説全ての正式言語は英語であり、その内容および解釈については英文が優先します。各国の事情や状況により必ずしも国内外同一のサービスを展開していない場合がございますことを予めご了承ください。原文の英語版はこちら: The Pandemic Context

“2020年と比較してどうなるのか”と“2020年がパンデミックに終始した一年の場合、今後の活動をどのように捉えればよいのか”“2020年は例外なのか”“それとも新たな規準となるのか”といった疑問について、一年前から誰しもが抱いています。

ステップ1: キャリブレーション(数値調整)

2021年に入ると、この問題は現実味を帯びてきており、現状の処方 (Rx) とレセプトの動きを、前年同期比でどの程度適切に評価できるかを判断することが、重要なキャリブレーションとなります。

2020年を振り返ってみると、かなり一貫したストーリーが顕在化してきます。第10週目から第25週目の急速な備蓄を特徴とする不安定な期間を経て、ロックダウン中の処方とレセプトの動きがほぼ完全にストップしてしまった後、今日まで続くある種の「定常状態」に到達します。

図1:キャリブレーション済み2020 TRx曲線と実際の2020曲線

従って、最初のパンデミック・ショック期間は比較のベースラインとしては適切ではなく、その後の定常状態の方がベースラインとして適切です。更に、この定常状態は2019年よりも2021年に近い比較対照となります。結果として得られるのは、定常状態における平均成長率を使用し2019年の曲線又は処方とレセプトの動きに適用した、10週目から25週目の間の「キャリブレーションされた」期間ということになります。残りはパンデミックを考慮に入れつつ適切な季節性要因も織り込んだ曲線になります。

ステップ2:短期的な変化か持続的なイノベーションか?

われわれが次に直面する問題は、COVID-19によって引き起こされたイノベーションや変化のうち、どれだけが将来にわたって持続していくのかということです。今回の公衆衛生における緊急事態の収束後には、何が残るのでしょう? 2019年のダイナミクスに立ち戻ることはないのは明らかなようですが、持続可能なイノベーションや変革に対して、2020年ではどれだけ一気呵成に変化したと考えることができるでしょうか。

図2:前年比成長率

スペシャリティー医薬品のレベルでは、ロックダウンの時期から全体的に(当然のことですが)減少していることが概観されますが、精神疾患領域のようなアーリーアダプターでは、パンデミックをより恒久的な転換点として受け入れています。

図3:遠隔医療の合計相互作用%

“ズーム疲れ”については、ビジネスの世界ではよく議論され文書にもなっていますが、ヘルスケア業界もトレンドの転換に近づいている可能性があります。新たな調査では、製薬会社担当者とのHCPエンゲージメントに関して、オンコロジー以外の医師向けの1対1でのビデオ会議の価値を感じる割合がわずかに低下していることが示されています。

図4:ビデオと対面の比較

特にパンデミックによる変革とパンデミックによるイノベーションという考え方を代弁するものとして、遠隔医療のストーリーはこれからも更に注目や分析がなされるべきです。この先の道が2020年によって定義されるのか、最終的に2019年に戻るのかが見えてくるのは、これからです。

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